Raspberry Pi RP2350マイクロコントローラは、セキュアブートの実装や、フォールトインジェクションおよびROP(Return-Oriented Programming)攻撃を緩和するために設計された「Redundancy Co-Processor(RCP)」を含む、いくつかのセキュリティ機能を導入しました。これらの防御策をテストするため、DEFCON 2024では、ロックされたPico 2ボードから秘密データを復元することを求めるハッキングチャレンジが開催されました。多くの参加者が、RP2350の統合グリッチ検出器が標準的な電圧フォールトインジェクション攻撃を効果的にブロックすることを確認した一方で、研究者のKévin Courdesses(courk)はレーザーフォールトインジェクション(LFI)を用いることでセキュリティを突破することに成功しました。
レーザーフォールトインジェクションは、チップのシリコンダイに焦点を合わせたレーザービームを照射することで機能します。光電効果により、光がトランジスタに一時的な誤作動を引き起こすことができ、これをタイミングを合わせて命令のスキップやレジスタ値の破損に利用できます。RP2350のグリッチ検出器は電圧や電磁波の変動を検知するように設計されているため、Courdessesはこれらのセンサーを回避するためにダイの裏側から標的にしました。これには複雑な準備プロセスが必要であり、RP2350をはんだ剥離し、低コストの彫刻工具を使用して金属製のグランドパッドを機械的に研磨し、その後、導電性エポキシを使用して内部回路への十分なグランド接続を復元しました。この手法により、チップの内部セキュリティリセットをトリガーすることなく、レーザーをダイに作用させることが可能になりました。

この画像は、裏面レーザー攻撃がどのように内部センサーをバイパスするかを理解するために必要な、集積回路の物理構造を説明しています。

この写真は、レーザーへのアクセスを可能にしつつ電気的完全性を維持するために導電性エポキシを使用する、特定の準備工程を示しています。
攻撃を実行するために、Courdessesは市販のコンポーネントと3Dプリントパーツを使用してカスタムの「レーザーフォールトインジェクション・プラットフォーム」を開発しました。このシステムには、メインキャリアボード、I/Oボード、およびチップのブートシーケンスとレーザーパルスを同期させるためにFPGAによって制御されるレーザードライバボードが含まれています。冗長なチェックやランダムな遅延で強化されていないBoot ROM内の特定の命令を標的にすることで、研究者は単一の命令の「スキップ」またはレジスタ値の破損を誘発することができました。これによりセキュアブート機構を正常にバイパスし、秘密データが保存されている保護されたOTP(One-Time Programmable)メモリ領域へのアクセスが可能となりました。このプラットフォームは予算重視の設計ですが、アクセスの容易なツールを使用して、産業用ラボの外でも高精度なハードウェア攻撃が可能であることを示しています。

この画像は、記事の第3段落で説明されているカスタムプラットフォームのハードウェアコンポーネントを描写しています。

この視覚資料は、プラットフォームのハードウェア、特に最終段落で言及されているレーザードライバボードの説明を補完するものです。